京都の株式会社設立 » 株式会社設立の流れ(手順) » 事業目的の決定
会社の事業目的を決めよう
事業目的は「何をする会社なのか」を明確にするもので、定款の中に必ず記載しなければならない事項です。
目的は1つでも構いませんが、定款に記載されていない事業をその会社の仕事とすることはできませんので、将来のために、当面は予定していないような事業についても、多めに記載しておいたほうがいいでしょう。
もちろん目的に定めたからといってその事業をすべて行わなければならない、ということはありません。
- コンピュータソフトウェアの開発及び販売
- 飲食店の経営
- 広告代理業又は広告業
というように、お互いに関連性がない目的が並んでいたとしても問題ありません。
定款に記載する事業目的を決めるときには、次の点に注意しなければなりません。
1. 誰が見ても何をする会社かわかるようにする
2006年5月施行の新会社法で大きく要件が緩和されました。
従前は、「商業」「工業」「不動産業」といった目的記載では、あまりにも漠然としすぎていて登記が認められなかったのですが、新会社法施行後では、こういった記載でもOKとされています。
ただし、「商業」「工業」「不動産業」といった記載では、登記簿謄本をとった相手側も「どの様なことをする会社なのか?」がイメージできませんので、ある程度は限定して記載した方が良いと思います。
(例)
不動産業→不動産の売買・賃貸及びその仲介
製造業→●●の製造及び販売
2. 法律で規制されている業務は目的にできない
マンガの世界になりますが、ゴルゴ13のような「暗殺業務」は法律違反であり、事業の目的とすることはできません。「麻薬の輸出入」などもダメですね。
その他、弁護士(弁護士法人)にしか認められていない「弁護士業務」、税理士(税理士法人)にしか認められていない「税理士業務」など、専門士業にしか認められていない業務も株式会社では行うことはできません。
弊社の業務である行政書士業務も行政書士(行政書士法人)にしか認められていませんので、株式会社の定款の目的として記載できません。
3. 営利性のない事業目的は定められない
会社は営利を目的としていますので、営利性のない事業目的を定めることはできません。
不可とされた例には
「社会福祉への出費」
「永勤退職従業員の扶助」
「会社及び業界利益のための出資」
「政治献金」
などがあります。
「社会福祉への出費」など『不特定多数の者が利益を受けることができるボランティア(非営利)活動』を組織的に行うには『会社組織』より『NPO法人(特定非営利活動法人)』のほうが向いています。
4. 事業目的の文字には日本の文字しか使えない
事業目的の記載に使用する文字は、「漢字」「ひらがな」「かたかな」などの日本文字のみです。アルファベットなどの外国文字は使用できません。
「FRPの販売業務」を会社の業務とするならば『繊維強化プラスチックの販売』と日本語に置き換えなければいけません。
例外としてIT、Tシャツ、のように完全に日常生活にとけ込んでいるアルファベットは事業目的として使用することが出来ます。
外国文字の訳し方
- 「現代用語の基礎知識」や「イミダス」などの書籍を見て、略字を訳す。
- 英和辞書を見て日本語に訳す。
- 法務局の職員に「これを日本語に直したらどうなるんでしょうか?」と聞く
とりあえず上の3つの方法で頑張って日本語に直しましょう。
上の3つの点に注意して、目的を決定し、さらに目的の最後に
「前各号に附帯する一切の業務」
と入れておけば、さらに目的の範囲が広がります。目的の範囲をあらかじめ広げておけば、会社設立後の事業内容に多少変化が生じたとしても、定款の目的欄を変更する必要はありません。
また、事業の開始につき、役所の許認可を必要とする業種については、
「○○事業」という記載でないと許可・認可を出さない
という場合がありますので、あらかじめ関係官庁に問い合わせて確認しておく必要があります。
例えば人材派遣業ならば
「一般労働者派遣事業」や「特定労働者派遣事業」
といった記載になりますし、
介護保険法の適用を受ける訪問介護事業を行うならば、
「介護保険法による訪問介護事業」といったように記載しなければいけません。
このように会社の目的を決めるだけでもかなりの専門的知識を必要とします。
特に許認可が必要な事業を行う場合、目的の記載方法を間違ってしまうと、許認可が受けられず、定款を変更しなければいけなくなります。
時間・手間はかかりますし、登記費用(収入印紙代)などの費用も馬鹿になりません。
実際、自分で会社を設立された方から建設業や介護事業の許認可の依頼を受けたことがありますが、定款の目的の記載方法が適切でなかったために、できたてホヤホヤの会社なのに定款変更をお願いしたこともあります。
事業目的の決定は細心の注意を払いながら行いましょう。
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